見栄っぱりのクローゼット



いろんな服を着てきた。

格好良いと言われたくて。
素敵だと言われたくて。

尊敬されたかった。



いろんな嘘をついてきた。

大きい人間だと言われたくて。
偉大な人物だと思われたくて。

求めてほしかった。


「うらやましい」と言われた時、嬉しかった。
でもそれは、一時だけの、嘘の歓び。


もう、僕の部屋には嘘しかない。
裸の自分がどんな姿をしていたのかもわからない。

本当の僕がどんな「ひと」だったのかもわからない。



あるのは、嘘で詰まったクローゼットだけ。

裸になるのが怖くて、毎日クローゼットの中身だけが増えていく。
いつか、それが当然と思っていた。
「嘘をつくのが当然だ」と思っていた。


こうして、あなたへ話しかける自分ですら嘘なのかも知れない。
「繊細な感情を持ったひと」と思われたい、嘘なのかも知れない。

嘘のない自分を知るのが怖い。

そして。

嘘のない自分を知りたい。



白い言葉の世界