人形

今はまだ新しいから、あの子は僕を使って遊んでくれる
僕で遊ぶ彼女はとても楽しそうだった
僕はそれで嬉しかった

ある日、彼女は泣きながら帰ってきた
机の上に置かれていた僕は彼女に投げ捨てられてベッドの下に転がった
泣きわめく彼女に何も出来ず、ただ振り上げられる手に耐えた

ある日彼女は僕を拾い上げてくれた
机の上に戻されて僕は幸せだった

彼女が帰る時間が少し遅くなった
僕はとても悲しかった
とても淋しかった
でも僕は人形だからそんな事は言えない
かまってほしいなんて言えない

彼女は時々僕に愚痴を言う
そんな時しか彼女は僕の方を向かなくなった

とても悲しかった
とても淋しかった
でもそんな事は言えない

僕の方を向いてほしい
もう少しだけ僕を見てほしい
もう少しだけ僕の事を考えてほしい
でもそんな事は言えない

僕は人形だから
僕は彼女の支えだから

僕はとてもさみしかった

白い言葉の世界