ストーリーを構成する時に考えなければならない要素の一つに、
「時間軸」があります。
時間軸というのは、要はストーリーの中で
どういう風に時間が経過していくか、という設定ですよね。
普通に考えれば、時間は「過去→現在→未来 」
という形で進みますが、
ストーリーの構成上は、大きく分けて3つのパターンがあるかと思います。
それぞれに向き不向きがありますので、
ひとつずつ解説していきたいと思います。
■時間軸のパターンその1 「現在→未来 」
これは最もオーソドックスな、一般的な進め方です。
小説・映画・演劇・漫画を問わず、どこにでも使われているパターンで
大抵の作品はこの形で時間を進めます。
私達の生活と同じように、「今現在」の自分が主人公となり、
人生を生きるように、時間が進んでいきます。
この形では、(当然ですが)未来が見えませんので、
ストーリーの先が見えない事、そして将来への希望や不安を表現できるため、
読み手の感情移入がしやすいというメリットがあります。
■時間軸のパターンその2 「現在→過去」
先ほどの「現在→未来」に次いで多いのが、この「現在→過去」パターンです。
これがどういう形かと言いますと、要は「過去を振り返る」という
ストーリー形態です。
小説の冒頭で、現在の主人公が出てきますが、大抵は老年になっています。
何かの取材や回想録のような形をとって、そこから昔の大きな出来事を
振り返るというストーリー構成が多いようです。
このパターンで有名な作品といいますと、
例えば、映画の「タイタニック」などが挙げられますよね。
あの作品では、現在101歳の老女ローズが、タイタニック引き上げプロジェクトの
リーダーを務めるラベットに、当時のタイタニック号の状況を
語るシーンから物語が始まります。
そして、回想シーンに入ったあとからがストーリーのメインとなり、
レオナルド・ディカプリオ演じるジャックと、
ケイト・ウィンスレット演じる、当時17歳のローズの恋の物語が始まります。
また、話題になりました「世界の中心で愛を叫ぶ」も
ある意味ではこのパターンに入るかも知れませんね。
(タイタニックほど明確にこのパターンを踏んではいませんが)
このパターンを使う場合、最初に結論が出てしまっていますので
ある程度読み進めるうちに、およその結末が見えてくるというデメリットがあります。
しかし、例えば「タイタニック」のように、
実際の史実をストーリーにする場合は、とても説得力のある構成になります。
ノンフィクションを書く時には非常に強力な構成になりますが、
逆にSFやファンタジーを書く時には、なかなか使い辛い手法ともいえるでしょう。
■時間軸のパターンその3 「現在→過去→未来」
私が今一番注目しているのが、この3つ目のパターンです。
パターンその1とその2の美味しいところをドッキングしたような
構成に作り上げる事の出来るパターンだと考えています。
これはどういう構成かと言いますと。
ストーリーの始まりは、「現在→過去」パターンと同じように
今現在の主人公から始まり、過去を振り返る形をとります。
ストーリーが進み、現在の自分にまで時間が辿り着くと
今度は「現在→未来」パターンへと切り替わり、
今現在の自分から未来へ向けて進んでいくという構成です。
このパターンで表現されているのは、
例えば、映画「g@me」(ゲーム)などが当てはまります。
(映画「ゲーム」のオフィシャルサイトはこちら)
http://www.toho.co.jp/movie-press/game/welcome-j.html
藤木直人と仲間由紀恵が共演した作品で、
覚えておられる方も多いかも知れませんね。
この作品の時間軸を見て行きますと、
まずストーリーの始まりは、藤木直人が倒れているシーンです。
なぜこうなったのか。
そこから過去を振り返る形で物語は進みます。
そして、ストーリーがある程度進んで、「なぜこうなったのか」がわかり
始まりのシーンにまで時間軸が進み、最初のシーンへ戻ってきた時点で
普通の「現在→過去」パターンではここで物語終了ですが、
「g@me」は、ここから「現在→未来」パターンへと切り替わり
更に先へとストーリーが進むのですね。
あまり詳しく語ってしまいますと、まだ観ておられない方に
申し訳ないですから省きますが、
非常に面白い構図で、こういうパターンはこれから増えていくのではないかなと
思わされる構成です。
他の作品で言いますと、ブラッド・ピッド主演の「ファイトクラブ」も
これに近い構成を使っています。
(「g@me」ほどバランスよく使っている訳ではありませんが)
このパターンを使うと、
「現在→過去」のように、(先がある程度見える)構成の綺麗さと、
「現在→未来」のように、(先が見えない)希望と不安の要素を
両方あわせて使う事ができるのですね。
ただし、難点としてはやはり「難しい」という事でしょうか。
「現在→過去」パターンと「現在→未来」パターンの切り替えを
ストーリーのどこで行うのか。
これが出来ていないと中途半端な作品になってしまいますので、
まずは何度か試作で書いてみて、練習をしてみる必要があるかも知れませんね。
「ちょっと変わった構成で書いてみたい」という方は、
是非一度お試しくださいね。
(ちなみに今回のコラムに出てきた作品のDVDは、以下のAmazonのURLでどうぞ)
□映画「g@me」
g@me に関する情報(amazon.co.jpでの紹介文)
(藤木直人がセレブで格好良いです。自分もああなりたいです…)
□映画「タイタニック」
タイタニックに関する情報(amazon.co.jpでの紹介文)
(ディカプリオの作品なら、「ロミオ&ジュリエット」も非常に文学的で名作です)
□映画「ファイトクラブ」
ファイトクラブ に関する情報(amazon.co.jpでの紹介文)
(ちょっとサイコな感じであぶない作品ですが、心理の深さでいうと名作。
精神系の小説を書きたい方は必ず観てみてくださいね!)
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