初めて小説を書かれる方や、スランプで思い悩んでしまった方へ向ける、小説の書き方講座集です。
難易度ごとに分類していますので、ご自分の希望する分野をお好きな順で是非どうぞ♪

□似て非なる言葉遣い


私が今の会社に入ってすぐの頃です。

突然、とんでもなく納期の厳しい仕事が入って来たんですね。

もうどんなに頑張ってもギリギリ、あるいはもう「ごめんなさい」を
言うしかない、というような際どい状況でした。


その状況で、私は先輩にこう言ったんです。
「何とか乗り切ってみせますよ」
と。
確かに厳しいけれど、何とか頑張ろう。そんな意気込みでの言葉でした。

その言葉を聞いた、尊敬する先輩は私にこう言ったんです。

「そんな受身な考え方はやめろ」と。


先輩が反応したのは、私の「乗り切る」という言葉でした。
この言葉から、私が「受身」だと感じたんですね。


どういう事なのか、私は理解できずに先輩に聞いてみたんですね。
すると、先輩はこう答えました。

「『乗り切る』じゃない。『やり切る』んだよ」。

「乗り切る」と「やり切る」。

どちらも非常によく似た言葉ですよね。
しかし、先輩の言葉で言いますと

「乗り切るってのは、与えられた仕事をこなす事だけ考えてる言葉だ。
 やり切るってのは、その仕事を完璧な形にまで "自分で" やるって意味だ」

ほんの些細な違いです。
しかし、とても大きな違いですよね。

言葉は、それ単体である訳ではなくて、
その奥にある自分の考え方を表すものです。

「乗り切る」を使うのか、「やり切る」を使うのか。
その違いだけで、その人の仕事に対する考え方が見え隠れしてしまいます。

これと同じ事が、どんな言葉にでも起こります。

小説、詩、ブログ、メルマガ、メール…。
ありとあらゆる文章です。


私がメルマガで何度も
「自分の考えを自分の言葉で。技術はその後です」と
書かせて頂いているのも、そのためなんですね。


人は技術に惚れて読んでくれる訳ではありません。
その書き手の感性、考え方に惚れて読んでくれるのです。

技術をどれ程に磨こうとも、
例えば、仕事に激しいこだわりを持つ方が
「乗り切る」という言葉を使う方の文章に惚れるか、と言われると
答えはおそらく「NO」かと思います。


ほんの些細な言葉がその人の個性になり、考え方にもつながります。
だからこそ、一文一文を大切に書いていきたいものですね♪


勢いで適当な言葉を選んで書いていては、
本当にその文章が自分の本心と同じになるかはわかりません。

そんな本心ではない文章に、誰かが「共感しました!」と
励ましのお便りを下さったとしても、
おそらくそれは、喜ぶ事が出来ないんじゃないか。
そんな事を感じています。

文章にこだわっていくと、綺麗な言葉や、人の目を引きやすいキャッチコピーに
どうしても目が行きがちになりますが、
本当に大切なのは、「自分の想い(考え方)」と自分の書いた文章が
ちゃんとイコールになっているか、ではないのかなと。

そんな事を想う今日この頃でした。


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