初めて小説を書かれる方や、スランプで思い悩んでしまった方へ向ける、小説の書き方講座集です。
難易度ごとに分類していますので、ご自分の希望する分野をお好きな順で是非どうぞ♪

□言葉が持つ雰囲気

音無し映画、写真映画

突然ですが、我が家はなぜか映画をよく見ます。
家族が話題作を次から次へと借りてくるせいなのですが。
有名作品にはおおよそ良い物が多いですが、たまに借りるマイナー映画には「音無し映画」と「写真映画」が多いように思います。

まず音無し映画。
ハリウッド映画でも全く売れなかった映画はこれでしょうか。
「元特殊部隊の主人公が何かの理由で退役していたが突然、軍の上層部から電話があり
『悪の組織に核弾頭が奪われた』という内容を聞かされ、主人公が一人で取り返しに…」などのパターンです。
おおよそ仲間がいたとしても途中で捕まり「お前の仲間はどこにいる!」と拷問され、
敵のボスが「知りすぎたようだな」と言って部下を撃ち、最後は主人公と敵で肉弾戦…。
おそらく皆さんも作品タイトルが違えど、こういった作品をご覧になった事がおありかと思います。

この映画は吹き替えであるのに音を消していても誰が何を言っているかわかります。ストーリーが最後まで読めてしまう。ある程度、読めるのは大切な事です。読者の皆様の想像力をかき立てるという意味では。言えば読者サービスです。しかし最後まで読まれてはいけない。
最後では「えっ?」と思うような意外な展開が必要です。
映画のお話ですが、小説でも、同じですよね。

写真映画。
一度フランス映画を見たんですが、どうも映画にするには惜しい感じがしました。セリフ回しなどは「さすが」と思うのもあるのですが、画面が全く動いていないのです。主人公の口が動いているのみです。数時間も見ていると妙に眠くなります。これは動画でなくとも、画面にそのシーンの写真を映しているだけでストーリーが進むのでは、と思う作品です。

映画と小説ではある程度似た事が言えます。
大切な事は読者の期待を良い意味で裏切る事、そしてメリハリをつける事。
ずっと同じではいけないん。笑うシーンと怒るシーン、両極端の物が必要です。
そういった要素を詰め込んだ作品にしなければなりません。人は同じ物を10分も見ているとそれだけで飽きる生き物なのです。


ひらがなとカタカナ

よく言われますよね。  ひらがなは柔らかい、カタカナは堅い感じがすると。

これは事実です。おそらく日本人の99%はこの感覚を強いなり弱いなり持っているのではないでしょうか。
ひとつの言葉にこれだけ多くの人が共有している感覚というのはなかなか珍しいとは思いませんか?
文章を書く上で、これを利用しない手はありません。

ひらがな = 柔らかい、暖かい、優しい、ゆっくりした、子供っぽい、落ち着く
カタカナ =  堅い、冷たい、機械的、違和感

印象を挙げるとこのようになるかと思います。
これは結構使えます。

例えばこのサイトの昔の名は「ゆき」です。
これもわざわざ漢字で書かなかったのは、柔らかい感じを出したかったためです。

やはり小説において使い分けはセリフの中で活きてきます。「好き」と「スキ」と「すき」では、たった二文字でもそのキャラクターの年齢、性格、考えが出てしまいます。あなたの描きたいキャラクターの性質とこの言葉の出す雰囲気がアンマッチを起こすと、読者様にとっては致命傷になりかねません。

言葉は生きていますから、決してこのルール通りに行くとも限りません。
むしろ、このルールをやぶる使い方が今おもしろいとも言えます。
しかし、まずは基本です。ひらがなとカタカナの使い方と効果を知った上で、あえてその使い方のルールを破る。これは非常にクリエイティブなチャレンジだと思います。まずはご自身の作品の中でこれらの言葉の使い方について考えてみて下さい。


言葉の持つ雰囲気

作品の雰囲気を何が作るかといえば、まずストーリーが浮かぶはずです。これは当然といえば当然です。しかし雰囲気を作るもうひとつの大切な要素。それは間違いなく「言葉」です。

一人称にするか三人称にするかで同じ作品でもずいぶん違った感じに見えますが、その理由は、この「言葉」です。

一人称ではどうしても口語調にならざるをえません。逆に三人称はナレーターの言葉ですから口語調になってはいけないというルールがあります。
口語と文語では当然、雰囲気は大きく変わります。
ここまではよくある話ですが、ここからがポイントです。

同じ一人称でよく似たストーリーでも雰囲気が違うという例がありますよね?

これが「言葉選び」の結果です。

物書きというのは、必ずこの「言葉選び」の問題に直面します。
例えば雪の描写。雪が降っているシーンを色々な言葉で表現してみましょう。

1.その日は朝から雪がちらついていた。
2.白い粉のような雪がゆらゆらと降りてきて、積もる前に消えていく。
3.銀の粉粒が風を間を縫うように舞い、軟着陸しては姿を消す。


如何でしょうか?
まず1番はそのままです。これでは少しそっけない感があります。
2番。私が一番好んで使うタイプですが、2は一人称、
3は三人称のナレーションで使われる事が多いようです。

2と3を比べてみましょう。一つの事実に二つの言い方がある事がわかります。

2「白い粉」=3「銀の粉粒」
2「ゆらゆらと」=3「風の間を縫うように」
2「積もる前に」=3「軟着陸」
2「消えていく」=3「姿を消す」

簡単な例を一つ挙げただけですので、表現は他にも多くあるはずです。
百人いれば百通りの表現があると思います。
百通りの言葉選びがあり、それはあなたが少し意識するだけで、幾らでも変えられるものだと思います。

世代による言葉の違い
これが若い物書きにとっては少し辛いところです。十代であれば十代の話し方以外は出来ませんので。
あまり年上の方と話す機会がないと、その世代独特の表現というのが見つけられません。

逆に言えば60代の作家さんも十代の青年と話す機会がないと嘆いてらっしゃるかも知れません。

世代によっては同じ出来事を全く違う言葉で表現します。住む世界が違えば表現は全く別物となります。貴方の今いる世界の言葉では表現出来ても、作品中のキャラクターが貴方と性別年齢が全く違う場合、言葉の選び方に非常に迷う事となるでしょう。

同じ問題で「住んでいる地方」も絡みます。
私なども関東弁がよくわからず「この言い方は東京ではあるんだろうか?」と悩む事がよくありました。
東京に引越して来る事でその問題は全てが解決出来ましたが。


この、時代と場所による言葉の違い。

非常に難しいものがありますが、これは実際に話してみるという方法が最も効果的です。
私も東京へ来て初めて関西弁以外のアクセントを学びました。

言葉は人により様々。自分の中で言葉のバリエーションを増やしましょう。そのためには多くの人と話す事が一番の道かと思います。
言葉の入り口は耳なのです。


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