初めて小説を書かれる方や、スランプで思い悩んでしまった方へ向ける、小説の書き方講座集です。
難易度ごとに分類していますので、ご自分の希望する分野をお好きな順で是非どうぞ♪

□カメラアングルを意識する

映画はよくご覧になりますか?
小説家にとってあまり必要ないと思われるかも知れませんが、実は意外と有効です。
小説を書いていて、「どうしても情景が浮かびにくい、どうすれば風景のイメージしやすい小説を書けるのですか?」というご質問を頂きました。
その答えのひとつ、それがカメラアングルだと思います。

文章を書く時、例えば主人公の外見を描く時、どのように描写されるでしょうか。

単純に思い浮かんだ順に書いていくと、どうしてもバラバラな文章になりがちです。カメラであれば、映像が何度も飛んでは何を見ているのかわからないため、カメラを順にスライドさせていくのが良いとすぐにわかります。しかし小説の場合、かなりバラバラな描き方をしても一応文章としては通じるため、それがあまり意識されていません。

例えば、下の文章をご覧下さい。DJをしている主人公のオンステージのシーンです。

「ケイはステージの上でターンテーブルを華麗に回す。オレンジのサングラス、赤いTシャツ。光の中で踊る観客がケイを見つめる。彼の首から下げたヘッドフォンが揺れた。」


これをあなたの頭の中で映像化してみてください。まずカメラはターンテーブル上の彼の指に向いています。その後、カメラは顔まで上がりサングラスを映す、その後下へ移動しTシャツを映す。そしてカメラが半周し観客の顔を映し、再び反転して主人公のヘッドフォンを移します。
バラバラですよね。実際の映画でこんな目まぐるしくランダムに動く映像はありませんね。読む方も一体どこがメインなのかがわかりません。ステージなのか、ターンテーブルなのか、サングラスなのか。何が一番描きたいのかがわかりません。

そこで、カメラアングルを意識してこのシーンを書くとどうなるのか。
私の執筆中の長編次回作のワンシーンから抜粋します。


「彼らの頭上では無数のスポットライトが横殴りの光の雨を作る。その乱れる光を最も多く集めていたのは、ステージ上のケイだった。彼のターンテーブルを回す指、首元にぶら下がった揺れるヘッドフォン、オレンジのサングラスが踊る仲間達の視線を集める」

これを同じように映像化してカメラの動きを考えてください。まず映像の始まりはクラブの天井です。無数の光が乱れ飛び、その光の集まる先にケイがいる。カメラは光を追うように彼にズームアップします。そしてまず彼の指の動きがカメラに入る。その後カメラは上へと移動し、揺れるヘッドフォンを移し、最後にケイの表情へと移る。

このようにカメラの動きを考えながら書けば、かなりスムーズに文章を書く事が出来ます。
暗にこのシーンで最も重要なのは主人公のケイだと伝える事も出来ます。


もちろん小説と映画は違いますから、小説では映画では出来ない内面世界の描写も可能です。そういったシーンでは映像を無視して哲学を描いて構いません。しかし、純粋に情景描写のシーンではカメラがどこにいるのか、どう動いているのかを意識してみて下さい。
そうする事でより描写がスムーズになるかと思います。

このテクニックの勉強としてはまずカメラの動きに関する入門書を一冊読んでみると便利です。そしてそのテクニックを意識しながら、映画を観ます。どういう動きで映像を作るのかと考えながら観れば、自然と小説を書く際にもどこから書こうかがすぐに決まると思います。

情景描写は映像です。
地の文を書いている時のあなたはナレーターであり、カメラマンにもなっています。


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